フィリピンは「治安が悪い」というイメージを持たれがちですが、実際にはエリアによって状況が大きく異なります。本記事では外務省の危険情報や国際指標などの公的データをもとに、地域別のリスクと具体的な注意点を整理します。
フィリピンの治安を数字で見る
感覚的な印象だけでなく、まずは国際的な指標を確認しておきましょう。オーストラリアのシンクタンク、経済平和研究所(IEP)が発表する世界平和度指数(Global Peace Index)の2026年版では、フィリピンは163カ国中102位で、前年から3つ順位を下げました(2026年6月、BusinessWorld報道)。この指数は1〜5のスコアで、低いほど平和とされます。フィリピンの総合スコアは2.092で、アジア太平洋地域平均の1.900を上回っています。つまり、地域平均と比べるとやや治安面の課題が大きい国と位置づけられていることになります。ただし順位や数値は毎年変動するため、最新の数字は発表元のサイトで確認することをおすすめします。
外務省の危険情報でわかる地域別リスク
日本人にとって最も実用的な判断材料は、外務省海外安全ホームページの「危険情報」です。2024年12月19日に発出され、2026年10月時点でも掲載されている危険情報では、地域ごとに次のようなレベル分けがされています。
| レベル | 主な対象地域 |
|---|---|
| レベル1(十分注意) | 下記以外の地域(マニラ首都圏、セブ島、ボホール島、イロイロ州、ボラカイ島など、観光客が訪れる主要エリアの大半) |
| レベル2(不要不急の渡航中止) | サランガニ州東部、パラワン州南部(プエルト・プリンセサ市以南)、ミンダナオ地方の一部(ブキドノン州、南コタバト州など) |
| レベル3(渡航中止勧告) | ミンダナオ地方の中・西部(サンボアンガ周辺の各州、ラナオ州、コタバト州、マギンダナオ州、スールー州、バシラン州、タウィタウィ州など) |
比較的注意レベルが低いエリア
外務省の危険情報では、マニラ首都圏やセブ島、ボラカイ島など観光人気エリアの多くが「レベル1(十分注意)」とされています。セブ島とボホール島は、フィリピンの中でも比較的安全に旅ができるエリアとされ、外務省の危険情報でも「レベル1(十分注意)」にとどまっています。同様に、中部のイロイロ州も「レベル1(十分注意)」です。
注意が必要なミンダナオ中・西部
一方で、ミンダナオ島の中・西部は危険度が最も高く、外務省は「レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)」を出しています。対象は、北サンボアンガ州、南サンボアンガ州、サンボアンガ・シブガイ州、北ラナオ州、南ラナオ州、西ミサミス州、コタバト州、北マギンダナオ州、南マギンダナオ州、スルタン・クダラット州、サランガニ州西部(マアシム町、キアンバ町、マイトゥム町)、バシラン州、スールー州、タウィタウィ州(周辺海域を含む)です。これらの地域では武装勢力の活動が指摘されており、観光・ビジネス問わず渡航は避けるのが基本です。一方でダバオ市やカガヤン・デ・オロ市などミンダナオ島内でもレベル1に区分される都市があり、「ミンダナオ=全域危険」と一括りにはできない点も押さえておきたいところです。
マニラ首都圏で実際に多いトラブルと対策
観光客や在留邦人が最も多く滞在するマニラ首都圏について、在フィリピン日本国大使館は継続的に注意喚起を行っています。2026年5月には「マニラ首都圏及び近郊地域における邦人犯罪被害の傾向」として注意喚起が出されており、美人局(つつもたせ)、置き引き、バイクによるひったくりなどの被害が報告されています。
過去には拳銃を使った強盗も問題となっており、2024年10月以降、マカティ市やタギッグ市といった日本人が多く住むエリアで拳銃を使用した強盗事件が相次ぎ、日本人の被害は16件(2025年5月6日時点)にのぼったことがあります(外務省、2025年5月9日発出)。治安情報は変化するため、渡航直前には外務省や大使館の最新情報を必ず確認してください。
旅行・留学・移住で気をつけたい行動レベルの対策
- 夜間の単独行動を避け、移動はできるだけ複数人かグラブ(配車アプリ)などの信頼できる手段を使う
- 繁華街や人混みでは貴重品を身体の前で抱え、バイクの接近に注意する
- 見知らぬ人から勧められた飲食物は口にしない(睡眠薬強盗対策)
- 現金や貴金属を多く持ち歩かない
- 渡航前に外務省「たびレジ」に登録し、最新の危険情報をメールで受け取る
よくある質問
Q1. フィリピンは留学先として危険ですか?
A. 留学生が多いセブ島などはレベル1(十分注意)エリアですが、日本国内と同じ感覚で行動すると被害に遭うリスクが高まります。学校や寮の防犯体制を事前に確認し、夜間の外出や一人歩きを控えることが基本です。
Q2. ミンダナオ島には一切行けないのですか?
A. 全域が危険というわけではありません。中・西部の多くはレベル3ですが、ダバオ市やカガヤン・デ・オロ市のようにレベル1の都市もあります。渡航前に外務省の地図で最新区分を確認してください。
Q3. マニラは年々治安が良くなっていますか?
A. 年ごとの増減を一言で判断するのは難しいですが、2026年5月にも大使館から邦人の犯罪被害に関する注意喚起が出ており、置き引きや美人局などの被害は引き続き報告されています。楽観視せず基本的な防犯対策を続けることが大切です。
まとめ
フィリピンの治安は地域差が大きく、マニラやセブなど主要観光地の多くはレベル1(十分注意)、ミンダナオ中・西部の一部はレベル3(渡航中止勧告)とされています。世界平和度指数でも日本よりは課題が多いとされますが、具体的な行動レベルの対策を取ることでリスクは下げられます。危険情報やデータは随時更新されるため、渡航前には外務省や在フィリピン日本国大使館の最新情報を必ず確認してください。
参考にした情報
- フィリピン 危険・スポット・広域情報|外務省海外安全ホームページ(2024年12月19日発出)
- フィリピン治安最新情報(2026年5月)|海外安全.jp(2026年5月時点)
- フィリピン旅行の治安ガイド【2026年7月最新】|Holafly(2026年7月時点)
- 安全対策|在フィリピン日本国大使館(2026年5月時点)
- 【安全対策情報】マニラ首都圏(近郊地域を含む)への渡航を予定、又は滞在されている皆様へ|在フィリピン日本国大使館(2026年時点)
- マニラ首都圏における強盗事件の連続発生に伴う注意喚起|外務省海外安全ホームページ(2025年5月時点)
- Philippines slips in global peace ranking|BusinessWorld Online(2026年6月時点)


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